深井史郎――1935年のある音楽論から
2017年 04月 05日
(1930年頃、ストラヴィンスキーは日本でどこまで、そしてどのように聞かれていたのか、知りたいと、先日来、思っていたのですが、偶然きのう、堀田善衞の現代音楽論(1935)を読み返し、その中で、堀田のストラヴィンスキー言及に出会い、深井史郎にも出会ったのです。ちょうどその日が、深井史郎の生まれた日だったわけです。)
堀田は、当時読むことができた現代音楽の本として「現代世界音楽家叢書」を挙げているだけで、深井史郎が書いた『ストラヴィンスキイ』についてふれているわけではありません。しかし、堀田はこの「現代音楽小論」中、当時のフランス音楽について述べる中で「特にストラヴインスキーは現代において最も驚嘆されて居る音楽者の一人であ。」と書き、また「音楽評者の毀誉相半ばする人物である。」などと紹介しているのです。堀田は、深井史郎の『ストラヴィンスキイ』を読んでいたかも知れません。中学生・堀田善衞のストラヴィンスキーへの注目度の高さも、記憶しておきたいところです。
話が、深井史郎からストラヴィンスキーに遷ってしまいましたが、堀田がこの「小論」の末尾で「我日本、現代の作曲界にて、将来注目さるべき人は、菅原明朗、清瀬保二、池内友次郎、深井史郎、石田一郎、内海誓一郎などの諸氏であろう。」と書き“深井史郎”の名を挙げていることも記して、作曲家・深井史郎のことも、あらためて、しっかり記憶しておきたいと思っています。
*深井史郎 1907年4月4日~1959年7月2日
深井史郎については母校・秋田中学校の後継校・秋田高等学校同窓会のHPにいい紹介があります。
http://akitahs-doso.jp/libra/57
▲ by kaguragawa | 2017-04-05 21:31 | Trackback | Comments(0)