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2011年 09月 02日 ( 1 )   

霜川の“老友”小沢助左衛門とは(1)   

 最近ずっと気になっている人物がいます。その名は“小沢助左衛門”。

 かなり時代がかった、というか古めかしい、名前ですが、――確かな生歿年月日はわからないものの――明治、大正、昭和を生きた近代人です。

 三島霜川の最期をみとった文壇の若き友人・水守亀之助が、自らの晩年に記した『三島霜川を語る』の中に、“小沢助左衛門”を印象深く登場させています。

 “霜川の親しくしていた二三の人が思い出される。(中略)もう一人の異色ある人物は小沢助左衛門というので、本郷の前田侯爵邸内にいたらしい。加賀百万石の旧藩主の屋敷で一体どんな仕事をしていたのか。家扶とか家令という柄でもなかったから何か古い文書を扱う係ではなかったかと思う。
 小沢氏はやせて色黒く、羅漢群像の中に発見されそうな風骨をもった人物で、霜川とはどうして知りあったものかわからぬが古馴染みの間柄らしかった。本郷あたりに霜川がいた頃はちょいちょい飄々乎として姿をあらわした。”

 亀之助は助左衛門=霜川エピソードを語り続けていますが、少し割愛します。

 “霜川が亡くなった時、私は二十数年ぶりで小沢氏にあった。身なりなどは別人のように立派になっていたが風骨は依然として昔の小沢氏であった。お通夜の晩、小沢氏は自らすすんで禅宗のお経をあげた。その声はケンケンとして響く実にいい声だった。”
 〔霜川通夜の小沢氏について、亀之助は別の段で〕
 “前にいった老友で前田侯爵家の小沢助左衛門氏は僧侶の読経の後で、禅宗のお経をあげた。
 小沢老は、朴訥正直一図の仁で、その昔霜川が文壇の既成勢力の何れにも阿附雷同しなかった潔癖をしきりに褒めちぎっていた。”


 はてさて、水守亀之助が“羅漢群像の中に発見されそうな風骨をもった人物”として紹介する《前田侯爵家の小沢助左衛門氏》とはいった何者なのでしょうか。

by kaguragawa | 2011-09-02 22:30 | Trackback | Comments(0)