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「土井宇三郎」のこと(1)   

 いつのころからか、「土井宇三郎」という人のことが気になっている。
 富山県の書肆の草分けともいえる中田書店(現在の中田図書販売の前身)の支配人のような存在だったらしい(と思っていた)。。。

 たとえば、手元にコピーのある明治期の明治22年刊の「富山県職員録」の奥付には

  編輯者
   富山県平民
     中田宇兵衛
       富山県富山市大字富山材木町十五番地
  発行兼印刷人
   同 平民
     土井宇三郎
       同東四十物町二番地寄留
  発行所
   富山県大字富山東四十物町
     中田書店


 ・・・などと記されてあるからだ。

 といっても私の興味は、出版史よりも「古地図」にあったので、土井宇三郎の名前を意識したのも、明治20年(1887)の「富山市街図」にその名前を見てからだ。そのうちになんとなく中田書店と結びつけて頭に入ったままだったのである。
 気になりつつも忘れかけていた「土井宇三郎」の名前を思いがけず見つけたのは、昨年、確か高岡市の国泰寺のある末寺に関することを調べていたときだったと思う。意に反して?、滝廉太郎に関わるある思いがけない本を見つけた。さっそく入手した『櫻散りぬ――ある小学唱歌教師一族の近代史』(劔月峰/文芸社/2007)という、その本のページをくっていたときだった。そこに「土井宇三郎」の名があったのだ。つながりもないと思われていたことがら〔国泰寺/滝廉太郎/土井宇三郎〕が、“櫻井信彰”という唱歌教師を中心に、いくつも重なって湧出してきて頭が整理できず、幸いなことに当時パソコンの調子が悪かったこともあり、このブログにも書かずじまいになったのである。

 まだまだわからないことだらけだから報告は後日としたいが、滝廉太郎の命日を直前にして、土井宇三郎の名前を思い出したので、次のことだけ書いておくことにしよう。
『櫻散りぬ』によれば、土井宇三郎は最初は、個人で?書籍刊行を始め、この土井の事業が中田書店に引き継がれたようだというのである。(続きは、後日・・・。)


〔追記〕 
 今、国会のデジタルライブラリーに見てみると明治16年の「富山県職員録」の奥付はこうなっている。

  編輯兼出版人
   富山県平民
     土井宇三郎
      越中国上新川郡東堤町二十二番地居住


 さらに溯ると、明治14年(1881)に『日日晴雨参考表』というものが土井の名で公刊されている。
 このようなものがどのような目的で出版されたかもとても興味あるところなので、できればお暇な方はのぞいてみていただければと思う。
  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/831893
 この奥付には、

   明治十四年二月出版御届
   同 三月 刻成発兌
  
   著者出版人
    石川県上新川郡富山東堤町
      土井宇三郎

by kaguragawa | 2016-06-27 20:26 | Trackback | Comments(1)

Commented by kaguragawa at 2016-06-29 21:56
Shakesさん、有り難うございます。『中田家譜』のことをすっかり忘れていました。密田家のこともふくめて基本的なことはしっかりと頭にいれておきたいものです。土井家は「上市屋」を名乗っていたようですから、上市が本貫の地かも知れません。上市川右岸の眼目、広野といった辺りに今も土井姓が多いようです。
今日、富山県師範の《高塚鏗爾》のことを書きましたが、彼のこともまったくわかっていなくて、これから少しずつ調べてみたいと思っています。またご教示ください。
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