横山源之助、逝って100年
2015年 06月 03日
『日本の下層社会』は、「古典」の名のつく書物の中でも忘却され、読まれない本の見本になってしまったようである。
だが、『日本の下層社会』中の警句「日本社会の思想方向は、日に堕落に赴きつつあるにもかかわらず、物質社会は冷ややかに数字の上にその発達を示すおるなり」は、源之助の眼の確かさをあざやかに示して余りあるもの。
この一世紀前の「古典」は、読みずらい――読むにあたっての糸口のつかみずらい――本になっていることは、否めない事実である。「数字の羅列で、心のない本」というような批難もweb上に散見される。もし何かの縁があってこの本に接しられる方がおられるとすれば、私としては、読みとおし、読み返すことで、源之助の静かながら熱いメッセージを少しでも感じてほしいと、お伝えすることしかできない。
by kaguragawa | 2015-06-03 21:56 | Trackback | Comments(0)