繰り返された権力の愚稿=愚行   

 我国の首相の《広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式》でのきのうの“あいさつ”が、昨年のそれと同じものだったと、うわさに聞き、「まさか、唯一の被爆国の代表たる首相がそんなバカなことをするはずがない」と一笑にふしたが、帰宅後確認して、私自身のおろかさに愕然とした。

 もちろん一字一句、同じではない。《昨年、国連総会の「核軍縮ハイレベル会合」において、「核兵器のない世界」に向けての決意を表明しました》だの《本年4月には、「軍縮・不拡散イニシアティブ」の外相会合を、ここ広島で開催し、被爆地から我々の思いを力強く発信いたしました》だのという部分は、今年ヴァージョンである。
 だが、「安倍総理の演説や記者会見などを、ノーカットの動画やテキストでご覧になれます。」という「首相官邸」HPからコピペした原稿のA(1904版)とB(1903版)の部分はどうだ。いくらなんでも、これは最低にお粗末だ。心のこもっていないことを、これだけ明かにした公文書も珍しいのではなかろうか。一国の総理大臣の〔愚稿=愚考=愚行〕の中でも、“後の世に、また世界に、伝え続け”られる、最高の部類に属するだろう。


(A:1904.08.06)
 広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。
 69年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風に浚わせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。
 犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません。
 人類史上唯一の戦争被爆国として、核兵器の惨禍を体験した我が国には、確実に、「核兵器のない世界」を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。(中略)

 広島の御霊を悼む朝、私は、これら責務に、倍旧の努力を傾けていくことをお誓いいたします。結びに、いま一度、犠牲になった方々のご冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、世界恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0806hiroshima_aisatsu.html

(B:1903.08.06)
 広島市原爆死没者慰霊式、平和祈念式に臨み、原子爆弾の犠牲となった方々の御霊に対し、謹んで、哀悼の誠を捧げます。今なお被爆の後遺症に苦しんでおられる皆様に、心から、お見舞いを申し上げます。
 68年前の朝、一発の爆弾が、十数万になんなんとする、貴い命を奪いました。7万戸の建物を壊し、一面を、業火と爆風に浚わせ、廃墟と化しました。生き長らえた人々に、病と障害の、また生活上の、言い知れぬ苦難を強いました。
 犠牲と言うべくして、あまりに夥しい犠牲でありました。しかし、戦後の日本を築いた先人たちは、広島に斃れた人々を忘れてはならじと、心に深く刻めばこそ、我々に、平和と、繁栄の、祖国を作り、与えてくれたのです。蝉しぐれが今もしじまを破る、緑豊かな広島の街路に、私たちは、その最も美しい達成を見出さずにはいられません。
 私たち日本人は、唯一の、戦争被爆国民であります。そのような者として、我々には、確実に、核兵器のない世界を実現していく責務があります。その非道を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めがあります。(中略)

 広島の御霊を悼む朝、私は、これら責務に、旧倍の努力を傾けていくことをお誓いします。結びに、いま一度、犠牲になった方々の御冥福を、心よりお祈りします。ご遺族と、ご存命の被爆者の皆様には、幸多からんことを祈念します。核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また、恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いし、私のご挨拶といたします。

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0806hiroshima_aisatsu.html


 安っぽい行政作文の使い回しが、被曝に対する首相の考えの微動だにしていない証左だというのなら、来年も、この地位にとどまり同じあいさつを、緑豊かな広島の街で、音吐朗々とされることを心から望みます。
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by kaguragawa | 2014-08-07 20:36 | Trackback | Comments(0)

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