岡田与好さんのこと
2014年 06月 06日
『独占と営業の自由―― ひとつの論争的研究』(木鐸社/1975)も、『イギリス初期労働立法の歴史的展開』(御茶の水書房/1961)も私にとって宝物のような本でした。あえて名前は挙げませんが、我学問こそ古い法律学から脱皮した社会科学としての法律学であると主張する重鎮?クラスの諸氏に対し、経済史の実証的理論的成果をもってはばかることなく挑まれた論争は胸のすくものでした。
論争を際立たせた目の覚めるような氏の立論は、規範としての憲法の諸「自由」を歴史的に解剖する視角――市民社会が国家をして「自由」を析出させていく過程と、市民社会が国家に対抗して「自由」を獲得してゆく過程とを峻別する眼――を与えてくれるものでしたし、思想史の分析にも大きく寄与したと整理してもよいのではないでしょうか。
老化し軟化かつ硬化した私の頭には岡田さんの本を読み貫く耐久力はなさそうである。が、書庫?の奥から本を探し出して岡田さんと少し対話してみたいと思うこと切である。
*岡田与好 1925年8月11日~2014年5月27日
by kaguragawa | 2014-06-06 23:52 | Trackback | Comments(0)