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内田義彦の語る「被告人型」   

 ある本が気になって手に取ったら、内田義彦氏の発言が目についた。山本安英の「ことばの勉強会」での発言だ。

 「私は経済学史という分野の仕事をしていますけれど、検察官型の経済学史というのはきらいだから、弁護士型の経済学史をやってみたい、そういうことを実は10年ほど前に上原(専録)先生にお話したことがある。たしか河上肇についてお話したときだったかと思います。上原先生はしばらく考えておられまして、“私のは被告人型です”――先生、憶えていらっしゃるでしょうか。それからずっと「被告人型」ということばにひっかっていた。「弁護人型」ということで人を弁護するのはいいが、自己弁護になるんではないか。あるいはまた、本人のほんとうの言い分を置いてきぼりした弁護術になるのではないか。」

 学史における「検察官型」「弁護士型」、そして「被告人型」。経済学史におけるアダム・スミスの取り上げ方、というようなことが眼目になっている話だが、文学史にける夏目漱石の取りあげ方、とでも考えれば、いろんな学者や評論家のさまざまな論考が浮かんでくるかもしれない。

 
 それにしても、内田氏の刺激的な語り口に、感心してう~ンと唸ってはみたものの、「被告人型」に行きつく前に、入り口ですでににひっかかって前に進めない私です。

by kaguragawa | 2013-01-07 20:27 | Trackback | Comments(0)

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