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「誤認逮捕」と「謝罪」(1)   

 「誤認逮捕」ということばが頻繁に使われている。が、これは刑事訴訟法上の用語でもなければ、報道機関においても厳密な定義にもとづいて使用しているようにも思われない。刑事手続きのことをきちんと調べずに、冤罪と同意語として使い、国の賠償責任までコメントしている人もいるようである。

 無実の人物が「起訴」された場合ですら原則として国家賠償法上の違法性を有しないというのが、判例である。つまり国は法律上の責任を問われないのである。「起訴」でさえ無責なら起訴に及ばない「逮捕」においては、国家賠償法など「問題外」というのが、おそらく警察・検察の考え方であろう。というわけで、今回のPCの遠隔操作事件の「誤認逮捕」で、4つの警察本部が「謝罪」を始めている。
 問題をこじらせずに、せいぜい、形式的に「被疑者補償規程」(法務省訓令)による金銭的な補償でけりをつけようというのであろうか。


 が、こんな法律論で納得する人はいまい。今回のPCの遠隔操作による犯罪予告事件について言えば、あまりにあまりに、捜査はずさんである。冤罪に至る道筋がこんなにも“あざやかに”我々の眼前で示されつつあることも、今回の事件の特徴である。

 厳密な議論が必要とされる問題に、私のような非論理的な脳は充分に対応できないが、事態の推移だけはきちんと見定めたい。

〔追記〕
 「被疑者補償規程」は、上に“法務省訓令”と注を付けておいたように、法律ではありません。形式的には法務省の内部規定です。この「補償」はあくまで法律上の責任を認め支払うものではないということです。この際、その条文に目を通しておきたいと思います。
http://www.kensatsu.go.jp/kanren_hourei/h_higisha.pdf

〔追記:10.23〕
 大阪府警=大阪地方検察庁のケースは、すでに起訴済みだったが、19日に、刑事訴訟法257条によって検察は公訴棄却の決定を申し立て、起訴取り消しがされている。神奈川県警=横浜地方検察庁の件は、別項(2)。

by kaguragawa | 2012-10-21 20:00 | Trackback | Comments(0)

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