魔法のような幸福な本   


黒岩比佐子様

 北陸も落葉樹の芽生えがみられサクラの開花が報じられる時節となりました。

 ようやく今日、斎藤弔花の『国木田独歩と其周囲』を入手することができました。三島霜川のことを書いた同時代人の本と言うことでこの本を教えていただいてからもう5年もたちました。遅ればせながら、お礼とご報告をさせていただきます。
 比佐子様はこのように紹介くださいました: 《もし、斎藤弔花の『国木田独歩と其周囲』が手に入るようでしたら、その中にちょっとびっくりする話(三島霜川が風呂嫌いだったという話)が書かれています。拙著では、三島霜川の名誉のために、あえてそのことには触れませんでしたので。》
 比佐子様の『編集者 国木田独歩の時代』を読まれた方は、この斎藤弔花の本が十二分に読みこまれて巧みに活かされていることをご存じでしょう。

 怠惰な私と言えども、そのときすぐに県内図書館の蔵書検索をしたのですが、どこにもなく、県外図書館からの取り寄せの手続きをと思いながら、最近、ようやく、しかしながら思ったよりも安価で古書を入手することがわかりさっそくnetで注文した次第なのです。
 しかもそれが金沢市の古書店だったので、直接店頭で受け取り、心せくままに桜が満開の公園のベンチでさっそく本を開いたというわけです。あらためて見ると、この『国木田独歩と其周囲』、こわれそうな昭和18年の初版本です(再版されてないのかも知れませんが)。e0178600_22374938.jpg
それにしても、昭和18年というみんな目が三角になっていたような時代に、よくもまぁ独歩追憶の一見のんびりした――その実、とても真摯な――本がよく出たものと、驚くよりもなにかウキウキしてきたところに、もう一つ天恵が・・・。
 
 なんと!、霜川の項を読もうと開いたページから目に飛び込んできたのは、「井野辺東海太郎」の名前でした。それは、ここ一か月ほど、なにか手がかりが無いかと探してきた《井ノ辺東海君》のことに違いないのです。
 第一級の霜川情報に心躍らせる一方で、尋ね人にばったり出会えるとは、『国木田独歩と其周囲』の魔法のような幸福な本であることよ、とシンミリ。

 そう言えば比佐子様の集められた幸福な本たちは、神奈川近代文学館に収蔵されることなったとお聞きしました。いずれ、そうした比佐子ゆかりの地で、お会いできることを楽しみにしております。また折々に、アドバイスなどお送りいただければ幸いです。
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by kaguragawa | 2012-04-14 22:41 | Trackback | Comments(0)

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