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少年“霜川”の福島時代(3)   

 前回の同項〔=10月20日/25日〕から、かなり時間があいてしまいました。

 《少年“霜川”の福島時代》という題で、書こうとしたことは内容的にはいくつもあるのですが、今、霜川作品のストーリーなども紹介しつつ詳細を書く余裕はないので、「“三島霜川と福島”というテーマを掘り下げるとおもしろそうですよ」ということを強調した上で、それに加えて霜川のエッセイ上の日時についてささやかな疑問を書いておこうと思います。

 霜川は、「渦と白い死骸」というエッセイで、“磐城の四つ倉という海岸”(現:福島県いわき市)における少年時代の思い出をつづっています。水泳中に渦に巻かれて溺死しかけたことや、漁船が沖で難破し後日その船員の死体を霜川(才二少年)が見つけたことなどのエピソードを紹介し、「死」についての原体験を書いています。
 興味深いのは、少年時代の「漁船難破」見聞体験が――実質上の処女小説「ひとつ岩」においてだけではなく、晩年の最終作ともいうべき芝居台本「鰤」に到るまで、――霜川作品に何度も出てくる“通奏低音”になっていることで、ここではそのことを、確認し強調しておきたいのです。それほどに、この福島時代の漁村の思い出は霜川にとって大事なものであったと断言してよいかと思うのです。
 また、発表順としては処女作にあたる「埋れ井戸」の舞台も、登場する老人の口からでる方言や民謡が、おのずとこの作品の舞台が福島県であること語っているように思われるのです。事例を省きますが、「埋れ井戸」の世界は、福島県内の城下町近郊の里山を背にした農村であるとみて良いように思います。そしてこれは私のまったくの仮説なのですが、その場所とは――“磐城の四つ倉”に移る前に霜川親子が住んでいた――、 四倉から「十八里」ほど離れた町周辺である可能性が高いということなのです。

 ミステリーの謎解き気分で、その“町”がどこなのかをあれやこれやと穿鑿(せんさく)してみたいと思うのですが、それは来年のお楽しみにして、続いてエッセイ「渦と白い死骸」に記された日次についての疑問を紹介したいと思います。

by kaguragawa | 2011-12-21 22:30 | Trackback | Comments(0)

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