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朗読で聞く霜川の“解剖室”   

 浅野川倶楽部の「朗読で綴る北陸文学 ~じっくり聞きたい郷土の文学たち~」の高岡公演に行ってきました。高岡公演といっても会場は、旧福岡町の真宗寺院“空臨寺”の本堂。演目は、青木新門「つららの坊や」、小寺菊子「父の帰宅」、三島霜川「解剖室」 。3作品とも富山の作家の作品である。

 霜川ファンの私にとっては、昨年に引き続き、朗読小屋・浅野川倶楽部の皆さんが三島霜川の小説を取りあげてくださったことに深く感謝するのみ。まして霜川の代表作とはいえ、思弁的な書き込みがかなりな部分を占める「解剖室」を朗読で取りあげていただいたことに、興味と期待いっぱいでわくわくした気持ちをふくらませて福岡駅から空臨寺へと向かいました。

 思弁的な部分が多いといってもそこには霜川の死生観のエッセンスが披歴されていて、それがこの作品にもあふれている霜川独特のあざやかな叙景描写と織りあわされ、そうしたものの一体が「解剖室」の魅力になっているのですが、その反面、この思弁性や構成上の未整理がこの作品をとっつきの悪いものにし、この作品のもう一つの魅力であるトリッキーな結構を少し見えづらくしているのです。

 が、浅野川倶楽部の皆さんは、こうした作品の構成をつかまえて、みごとにこの作品を感銘深いものによみがえらせてくださっていたのです。

 (続)

by kaguragawa | 2011-05-01 08:40 | Trackback | Comments(0)

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