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霜川の「解剖室」のモデル都市(2)   

 話の方向が、二者択一のようになってしまったのですが、「モデル」という言葉を使ったように、私としては風早学士の人物設定をするために霜川が「都市」のありようを独自な形で書き込んだ、そんなモデルとして都市の具体相を整理してみたいというのが、本来のテーマではあります。

 ともあれ、「解剖室」の背景となっている都市探しを、上記のテーマを念頭において続けたいと思います。 霜川は意外にも、解剖室の周囲の雑木林と同様に、医学校の背景の町を各所に詳細に、――この町と雑木林の対比にも注目する必要がありますが――書き込んでいます。


 実をいうと学士は、この町に来てから、その峻烈な寒気も、その荘重な自然も、また始終何か考えているような顔をしている十万に近い街の民も、家も樹も川も一つとして彼の心を刺激するものが無かった。〔183〕

 泥濘(ぬか)った路をペチャンクチャン、人通りの少ない邸町(やしきまち)から。そこには長い土塀が崩れていたり、崩れた土塀の中が畑になったりしている。横町へ出て、横町から大通りへ出る。大通りへ出ると、毎朝きっと山の手の方の製糸工場の汽笛が鳴って、通りは朝の雑踏を極めている。〔183〕

 そしていつか、この市(まち)の東の方を流れているS……川に架けられた橋の上まで来た。この橋の近傍はこの市の一方の中心となっているので、その雑踏は非常だ。〔185〕

by kaguragawa | 2010-09-01 06:45 | Trackback | Comments(0)

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