小林昇さん
2010年 07月 26日
経済学史家と言ってもわかりにくいのですが、私には近代経済思想の2つの潮流となったアダム・スミスとジェイムズ・スチュアートの学説構造にみごとな照射をあてた『国富論体系の成立』、こうしたイギリスの経済思想の社会構造と後進ドイツのそれを見すえた上で精緻に再構成されたフリードリッヒ・リストの学説研究が、学説史の白眉の成果だと思われます。
学史研究と戦争体験のあわいを社会科学者の眼と歌人の感性で見つめつづられた随筆集『帰還兵の散歩』も歌集『歴世』も、私の支えになっている本です。
ご冥福をこころからお祈りいたします。
by kaguragawa | 2010-07-26 22:12 | Trackback(1) | Comments(0)