天神様をお送りする
2010年 01月 23日
そもそも、“天神様を仕舞う”って、いったい何のこと?―――と聞き返されそうですね。
これは、富山と福井の風習で、お正月の間、床の間に天神様(菅原道真)の掛け軸を掛け、鏡餅などのお供え物をするのです。天神様は掛け軸でなく木彫りの像のこともあるのですが、その家に長男が生まれると母方の実家から贈られるものなのです。細かく言うとこれが富山県“全域”の風習なのかどうかどうか私は知りませんし、前田家ゆかりの菅原道真(天神様)が加賀前田藩の金沢では飾られずに福井で飾られているらしいのも不思議なところです。(福井の風習を売薬さんが富山に持ち帰ったという説もあり。)
天神様は年末に飾り付けをしてお正月を迎え、天神様の縁日である1月25日に鯛や鰈(カレイ/福井の場合)などで最後のおもてなしをし、夜か翌朝早く仕舞う(お帰りいただく)ということになるのですが、前日の24日に宵祀りをし25日の早朝にお帰りいただくというところもあるようなのです。その辺りがさまざまで、一義的に決められたものではないようなのです。お雛様の片付けと同様お帰りが遅くなると、さまざまな不都合がつきまとうようなタブー的な言い伝えもあるようです。
今日的にはこうした家格が量られるような風習には見直しが必要と私は考えますし、道真=前田家の神格化と重なる〔天神様信仰〕という前田藩の思想操作の一面がほとんど解明されてないこともずっと気になっています。が、「歳神様」を迎え送るという民俗(正月の天神様もその一つ)は大事にしたいと思っています。いずれにせよ、勤め人には平日の「25日片づけ」や「早朝」(5時までと書かれたものもあり)と言われても、ちょっと・・・。
〔追記〕
富山の天神信仰(前田藩と天神様)の概要については、“やいっちさん”の「天神様信仰と梅の花」を参照のこと。
〔追記:2014.1.25〕
今朝の新聞広告(あるスーパーのチラシ)に、「天神講」として“日本海産紅ずわいがに大奉仕”の文字が躍っていて、「正月から1月25日までの間を天神様の日として、天神様を飾り、「面付きのかに」「お頭付きの鯛(桜鯛)」を最終日1月25日にお供えします。」とあります。う~ん、「面付き」か。
by kaguragawa | 2010-01-23 19:03 | Trackback(1) | Comments(2)
そう言えば、先日いろいろ調べていた折、氷見の橋本芳雄先生の名前を見つけて懐かしく思ったことでした。といっても一二度お会いしただけですが。