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8月1日――犀星生誕の日に   

 室生犀星生誕120周年記念音楽会『抒情小曲の夕べ』(金沢市文化ホール)

 大ホールで犀星の詩につけられた音楽を聴くことが、晴れがまし過ぎるような、面映ゆいような、気恥ずかしいような気がして、気が進まず躊躇しました。そもそも、この音楽会のあることを雨宝院の高山住職との縁で知ったのでなければ見送ったことでしょう。が、谷川賢作さんが「ネコのうた」という[動物詩集]中の詩につけた新曲が賢作さんみずからの演奏で披露されることを知り、その曲だけでも聞きに行こうと、ようやく意を決して金沢に向かいました。

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 犀星の詩による合唱曲が、よく練られた真摯な演奏で数多く聴けた幸いは、谷川賢作さんとこどもたちによる「ネコのうた」のユーモアあふれるひとときとともに、胸に静かにしまっておきましょう。なにより、篠井英介さんの犀星詩の渾身の朗読が、――その背景で奏でられたオーケストラアンサンブル金沢の小メンバーによるクラシック演奏とあいまって――犀星の魅力を胸にあふれさせてくれたものであったこと、有り難い思いで記しておきます。
 (ただ、シューベルトの「鱒」をなぜ延々と聞かせる必要があったのか、頭数だけで盛り上げた最後の選曲はあれでよかったのか、この音楽会の構成については、お客としてではなく犀星を大事にしたいと思って参加した私の立場で、私なりに、問い直してみたいと考えています。)

 なお、生誕120年という節目のせいなのでしょう。犀星の3冊の新刊本――『随筆女ひと』(岩波文庫/2009.5)『庭をつくる人』(ウェッジ文庫/2009.6)『室生犀星句集』(星野晃一編/紅書房/2009.8)――を会場で買うことができ、こちらは文句なしの大満足。いずれ紹介したいと思います。
 

by kaguragawa | 2009-08-01 11:02 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

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