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「ひとつ岩」を読みやすいテキストで   

 三島霜川の作品「ひとつ岩」を、仮名遣いや漢字の字体などをあらため読みやすいテキストにして、このブログに掲載しよういう計画は、私なりの気持ちの一つの区切りであった3月11日までには、ほとんど実行することができませんでした。今は、言い訳もなにも無用なので、引き続き時間をかけてでも少しずつ実行していくことだけを報告しておきます。

 私が霜川の「ひとつ岩」を意識するようになったのはいつからなのか。記憶ははっきりしません。富山県内で『霜川選集』が刊行された時点(1979~80)でもこの作品にはまったくふれられなかったし、富山大学の佐々木浩さんが霜川の作品群を創作順に取りあげた時点でも、この小説の全10節の形は知られておらず言及も不十分なものにとどまっていたのです。私が、この注目されざる霜川第一作の「ひとつ岩」が『福島県文学全集 第1期/小説編 第1巻 明治編』(2001.10/郷土出版社)に収録されていることを知ったのは、かなり以前のことになります。
 しかし、“なぜ、霜川の小説が『福島県文学全集』に?”という疑問に踏み込もうにも『福島県文学全集』が県内のどこの図書館にもなく、数年が過ぎてしまったのです。

 分売していなかったこの『福島県文学全集』の《全巻》を買おう!と、怠惰な私に思い定めさせるには、残念ながら津波の映像の無惨さしかなかったのです。(高岡市の篤志家の麻生茂夫氏がこの作品全10節の印影復刻をされているのを知ったのも、同じ頃でした。)

 霜川が自らがこの処女作を生涯にわたって愛惜していたこと後に知ったのですが、それほどにこの「ひとつ岩」は力のこもった心をうつ作品だったのです。

 「ひとつ岩」の読みやすいテキスト化、しばらくお時間をください。

by kaguragawa | 2012-03-11 23:43 | Trackback | Comments(0)

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