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06/13/2007〔古代越の地域国家を〕   

 門脇禎二先生が亡くなられた。「先生」といっても、直接の先生といったわけでは無論なく、ある小さな講演会で間近に先生の謦咳に接したという程度のことに過ぎません。しかし、門脇先生には、先生とお呼びしたくなるような親しみ――それは先生の著書と講演から、学問的な厳格さと発想の柔軟さを根底に、考古学的事実と古史文献に即して史的真実を発見する学的態度を学ばせてもらったということですが――を、感じてきたということなのです。

 以下、読売新聞の記事からの抜粋です。
 “中大兄皇子らが蘇我蝦夷・入鹿親子を死に追いやり、律令国家を建設したとされる「大化改新」(645年)を後世の脚色と否定し、学界に衝撃を与えた。
 また、大和政権がその他の地域に支配権を広め、統一していったとする主流学説にも異を唱え、大和政権とは別の有力な王国があったとする「地域国家論」を提唱した。”

 私などが越の古代学に門外漢ながら関わっているのも門脇先生の「地域国家論」の魅力によるところがとても大きいのです。

 『日本海域の古代史』(門脇禎二/東京大学出版会/1896.9)――この本の荒海の装丁デザインには古代日本海への関心を鼓舞されます――を久しぶりに取り出しています。今夜は、この本の能登論や出雲論を拾い読みをして、先生のご冥福をお祈りしたいと思います。

  *門脇禎二  1925.09.28~2007.06.12

by kaguragawa | 2007-06-13 06:43 | Trackback | Comments(0)

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