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『日本語「ぢ」と「じ」の謎』   

 生物などの学名はラテン語で表記される。この「学名」と一対一で対応している日本語での名前(和名)が「標準和名」である。そしてこの標準和名は、カタカナで書き表すことになっている。(そうした表記法が確定するまでの経緯などについては別に書く機会をもちたい)

 前置きが長くなってしまったが、net友やいっちさんのブログにある植物の名前――“イヌホオズキ”――を書きこんだとき、誤って「イヌホウズキ」と書いてしまった。このカタカナ書きの和名のもとは「犬酸漿(いぬ・ほおずき)」である。ゆえにこの植物の標準和名の表記は、「イヌホウズキ」ではなく、「イヌホオズキ」が正しいのである。
 ちょっと話を遡らせれば、酸漿(ほおずき)の語源は「頬突き」だという。であれば、なぜ「ホオヅキ」ではなく「ホオズキ」なのか。。。「ほう」と「ほお」、「づ」と「ず」。これらは「仮名遣い」の問題である。

 「高利」や「行李」は〔こうり〕で、「氷」は〔こおり〕、というような、歴史的仮名遣いと「現代仮名遣い」の間には多くの問題が横たわっているのです。「校正」のしごとに少し携わったとき以来、愚考しているこの問題について書くつもりで書き始めたのですが、時間がなくなってきました。この表記上の問題についても、別に書く機会をもつことにしましょう。

 ほんとは、ある偶然で手にとった『日本語「ぢ」と「じ」の謎』(土屋秀宇/光文社知恵の森文庫/2009.6)の紹介を書くつもりだったのですが、――“とおくのおおきなこおりのうえを、おおくのおおかみとこおろぎがとお、ほおずきくわえてほおかむりをしながらとおっていった。”といったような、校正担当者が覚えているような意味不明な文のことも併せて、――あらためて時間を持ちたいと思います。

by kaguragawa | 2009-10-27 23:46 | 本/映画 | Trackback | Comments(0)

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